分科会

(敬称略)


【第1分科会】新学習指導要領に向けて
(1-1)オープンソースを活用したネットコミュニティの授業について 1-1.pdf
  東京都立上野高等学校 能城 茂雄
(要旨)新学習指導要領では、コミュニケーション手段の発達とその特徴について、生徒に体験させ、それらの特徴を考え理解させることが望まれている。しかし、実際に使われているオンラインコミュニケーションを授業で使うことは様々な問題が想定されるため、授業で生徒に体験させることは難しい。そこで、オープンソースを活用し学校内に限定したオンラインコミュニケーションを構築する手法を提案する。本発表では、実際にオープンソースを活用してコミュニケーション環境を構築するデモを実演し、その有効性について述べる。

(1-2)情報Aから情報の科学へ ~「モデル化とシミュレーション」の実践~ 1-2.pdf
東京都立町田高等学校 小原 格
(要旨)新教育課程において情報の科学を設置予定である本校では、問題解決学習の発展として「モデル化とシミュレーション」に関する学習を先行的に3時間行った。その概要と生徒の状況について簡単に報告する。

(1-3)情報科の教員採用に向けて
岐阜県総合教育センター 亀山 弘
(要旨)岐阜県では情報科の教員採用試験は行っていない。しかしながら、情報科の教科指導を充実させていくためには専任教員の配置や研修が不可欠である。他教科と同じように教科指導をしていても、一時的に担当しているだけで情報科の指導に専念しているわけではないため、適確な教育がされているのかどうか指導責任が追及される。生徒の健全な情報活用能力を育成するためには、その指導者である教員の配置や在り方を研究することが重要な要素となる。京都府教員採用での先進的な取組を参考にして各都道府県でも情報科教員を含めて教員の採用について再検討することが必要である。

(1-4)情報機器を活用して講演や発表会を演出する言語活動の充実を支援するための取り組み
神奈川県立横浜清陵総合高等学校 五十嵐 誠
(要旨) 近年、大型モニターや高輝度プロジェクターが普及し、PCと組み合わせて活用されている。また、ビデオカメラも安価になり、記録メディアとしてDVDの活用も進んでいる。これらの情報機器を用いて講演会や生徒の学習成果発表会の場を演出する工夫について、学校全体の取り組みの実践事例として紹介する。

(1-5)教科情報と他教科との教科横断授業実践 1-5.pdf
大阪府立東百舌鳥高等学校 稲川 孝司
(要旨)情報科での学習が他教科に役立つことを目標に連携を図り積極的に教科横断型の授業を実践した。同時展開の授業では詳細の打ち合わせや授業スケジュールの調整、欠席者へのフォローなど授業を実施する上で困難があるが、互いの教科の目標をより高いレベルで達成できる。情報科と協力することで、他教科において教科指導におけるICT活用の具体的な方法や有効な活用場面が明らかになり、教員並びに生徒のICT活用応力の向上に結び付いた。


【第2分科会】社会と情報
(2-1)制作意図を言語化する授業の実践< a href=”https://www.zenkojoken.jp/wp-content/uploads/2011/07/2-1.pdf”>2-1.pdf
埼玉県立朝霞高等学校 春日井 優
(要旨)新学習指導要領では言語活動の充実が謳われている。この実践の一例として、Webページを題材にその意図を考え表現することを授業で実践した。この授業の内容だけでなく、この授業を受けた生徒の理解度及び作品を、過去の授業との比較を交え効果についても述べる。

(2-2)「アートの視点で読み解くスーパー戦隊」
秋田県立仁賀保高等学校 黒木 健
(要旨)子供向けテレビ番組である「スーパー戦隊シリーズ」に含まれる伝統文化や商業との関連、色彩の機能などを、生徒が発する「つぶやき」から設問を発生させて仮説や調査によって学ばせるとともに、生徒が多様な解釈を手がかりに自己の観点をもってクリティカル(批判的)に批評できる情報活用能力を高める授業の提案。

(2-3)授業に話し合いを 2-3.pdf
神奈川県立平塚湘風高校 諏訪間 雅行
(要旨)単なる知識や技能の習得だけではなく、自ら考え判断する力をつけるためには、どのように授業展開をすれば良いのか。その一つの答えとして、グループ討議という方法が考えられます。少人数のグループで話し合いを行い、最後にグループとしての統一意見をまとめ上げ発表するという授業を試みてきました。私が考える、話し合いや発表の指導のポイントを紹介します。

(2-4)情報技法習熟を目的とした「旅行計画」の考察 2-4.pdf
日本学園高等学校 磯崎 喜則
(要旨)高校情報実習で従来行われている「旅行計画」をさまざまな情報技法を駆使して行う実習を考えた。実習者(作成者)の立場を「旅行業者」とし(仮想的な)「顧客」に対して「チラシ作成」したり、(同級生=現実的な)顧客に対して「プレゼンテーション」を行ったりすることを目的とした。「顧客」の好みを探り、旅行チラシにとって必要な情報を入れたチラシ作成を「ペルソナ・シナリオ法」「マインドマップ」などの情報技法を使う授業を考察する。

(2-5)コミュニケーション能力の向上を目的とした授業の工夫
埼玉県立福岡高等学校 長谷川 万希子
(要旨)昨年度「情報機器を利用する上でのコミュニケーションの工夫」と題し研究を行い、コミュニケーション能力の向上を目的とした授業提案を行った。今年度はその8つの授業提案の中から3つのテーマを選び、複数の研究委員が各勤務校で授業実践を行った内容を報告する。生徒の状況は多様で、学校によって学習環境が違う中、それぞれが指導方法を工夫し、授業実践・報告を行うことで、課題を共有し新たな発見をすることができた。

(2-6)統計リテラシーを育成するアンケート調査実習の実践と課題 2-6.pdf
茗溪学園中学校高等学校 大貫 和則
(要旨)新聞や雑誌をはじめとするさまざまメディアを通じ,アンケート調査の結果を使って情報が流されているのを見ることができる.アンケート調査はこれだけ身近な存在であるにも関わらず,その手法や読み解き方を学ぶ機会はほとんどない.そこで,本学園ではアンケート調査実習を柱とした実践をしてきた.この実践ならびに生徒による授業評価について報告する.さらに,新指導要領での数学科の統計分野の履修内容を考慮した新たな授業内容を検討する必要性について述べる.


【第3分科会】情報の科学
(3-1)違いのわかるライントレースの学習 3-1.pdf
千葉県立船橋芝山高等学校 谷川 佳隆
(要旨)ライントレースのプログラムを考えるとき、センサーがラインから外れたかどうかを判断してから前進または回転をするのか、判断してから前進または回転をするのかの2通りが考えられる。フリーでプログラミング学習環境を提供している「スクイーク」というソフトウェアを活用して、この2通りプログラムを組み、実行結果を自らの目で確認することで、2つのプログラムの違いを生徒が学ぶことができた事例を紹介する。

(3-2)Scratchで問題解決の思考を「見える化」 3-2.pdf
浜松市立高等学校 矢頭 勇
(要旨)情報AでScratchを用いた授業を行った。授業実践では、生徒は日常の身近な問題の解決をアルゴリズム思考の順次・分岐・繰り返しに分割し、それをフローチャート図で図示するとともにScratchの部品を組み立てる。この授業実践をとおして生徒は、自分自身の頭の中で起きている思考活動を、視覚的に把握しるとともに、問題解決の収集・分析した情報を基にした判断や解決案の提案の過程を、より効率化する効果があると期待できる。

(3-3)script型言語を用いた情報の科学的理解 3-3.pdf
石川県立金沢二水高等学校 鹿野 利春
(要旨)フリーのscrpt型言語を用いてRGBの各値による色の変化、ボタンの作成と動作、外部プログラムの実行、アルゴリズムなどを学び情報の科学的理解を深める実習を紹介します。

(3-4)暗号化鍵を指導する工夫 3-4.pdf
山口県立岩国高等学校 山下 裕司
(要旨)文面からでは理解が困難な暗号化の共通鍵・公開鍵・秘密鍵をいかに模擬体験させるかという点に工夫を凝らしてみました。

(3-5)理科・数学・情報の関連性を意識した授業展開 3-5.pdf
東京都立日比谷高等学校 天良 和男
(要旨)新課程の数学に「データの分析」が登場することによって,統計分野において,理科,数学,情報の関連性を意識した授業展開が可能となる。「1.理科実験のデータ処理を題材にする」,「2.偏微分方程式を使わずに数学?のレベルで理論的説明を行う」,「3.表計算ソフトを用いて実験式を求める」の各項目を2時間程度の「情報」の授業で行うことにより,高校生に「最小二乗法」の理論とデータ処理の方法を理解させることができる。

(3-6)高等学校におけるCSアンプラグド 3-6.pdf
大阪府立寝屋川高等学校 野部 緑
(要旨)CSアンプラグドを利用したアクティビティは科学的理解に有効であるが、そのままではなじまないものも多い。高等学校での実践例を中心に紹介する。


【第4分科会】授業評価と育成
(4-1)テレビ番組を活用した学校設定科目での取り組みとその課題 4-1.pdf
大阪府立岬高等学校 加藤 光
(要旨)現在の勤務校で学校設定科目「メディアとくらし」を担当して2年目になる。教材(本)の事例説明や、時事的な話題を取り上げようとする際、テレビ番組を活用した授業を試みている。NHK高校講座やITホワイトボックスといった情報教育向けの番組だけではなく、報道やバラエティ番組で取り上げられている内容が利用できることもあった。本発表では、これまでの実践とともに今後の課題について発表する。

(4-2)「IT危機一髪!」 と、ケータイアンケートについて 4-2.pdf
大阪府立春日丘高校 吉村 剛志
(要旨)「ケータイ危機一髪」を作成したメンバーを中心に実施した、大阪府の高校生約1万人の解析結果から見えてきたもの。ケータイやネットでの問題事象が起きたときの対応方法についてなど

(4-3)平成23年度新入生テストの結果報告 4-3.pdf
横須賀市立横須賀総合高等学校 石井 徳人
(要旨)平成17年度より行っている情報科新入生テストについて、今年度の実施結果について報告させて頂きます。基礎的な問題、直感的にわかる問題、情報と社会の分野の問題が良くできているのがここ数年の傾向です。また、なんとなくはわかっている内容でも、細かい内容についてわかっていなかったり、中学での指導や知識の欠落もあるので、高校で改めて系統立てて指導する必要性を強く感じました。

(4-4)教科「情報」で生徒たちに具体的に生徒たちにどのような力を身に付けさせたいか 4-4.pdf
近江兄弟社高等学校 長谷川 友彦
(要旨)教科「情報」で身につけさせるべき3つの観点はたいへん抽象的な概念である。日々の授業ではそれを具体化したものとして生徒達に示すことが大切である。ここでは、表計算ソフトウェアを用いた授業を通して生徒達に情報をよく見ること、よく読むこと、よく考える態度を身につけさせた例を紹介しつつ、教科「情報」の日々の授業の中で、具体的にどのような力を身につけさせようと意図して授業をされているかを意見交換したい。

(4-5)教科情報におけるe-Learning学習の効果と学力向上の可能性の検証
兵庫県立西宮今津高校 佐藤 万寿美
(要旨)西宮今津高校におけるe-Learning学習の授業への導入実践例、1つは学校設定科目「情報コミュニケーション」でのLMSによるe-Learning学習で、遠隔講義や遠隔評価など外部専門家との連携により、授業評価アンケートによる調査結果を報告する。2つ目は、普通教科「情報」において知識理解の定着を図るために、校内e-Learning(Moodle)による繰り返し演習やテストの結果から、確かな学力の向上との相関を検証し、5教科での利活用の実践紹介や今後の可能性を探る。

(4-6)ポートフォリオを活用した情報教育の評価と「見える化」 4-6.pdf
大阪府立伯太高等学校 桝井 則子
大阪府立伯太高等学校 村井 佑嘉子
(要旨)意欲をもって学習に取組み、自信をつけるにはどうすればよいか。生徒みずからが、学習活動の意義づけを行うことが大切であると考え、1年生「情報A」で年間を通じてポートフォリオ評価を試みた。1・2学期は課題毎の評価を行い、3学期にはプログラミング課題(6時間)に取り組んで、毎時間ポートフォリオを作成した。これらの実践を報告し、その意義を問う。活動と評価の「見える化」は、情報教育を支える鍵となるであろう。