分科会発表

分科会発表(1) 8月10日(土) 16:30 〜 16:55

【分科会A】普通科の「情報コース」設置校における授業実践
千葉県立佐倉南高等学校  浅見 智峰  発表スライド(15.3MB)
(要旨) 本校では新学習指導要領を見据え、実験的にタブレットとWi-Fi環境を導入した上で、Society5.0や、共生社会、ユニバーサルデザインなどを意識した授業作りを行っている。今回は専門教科情報の「情報テクノロジー」より、「マイコンを活用したガジェット開発」について授業を実践した際の報告をしたい。タブレットの活用法として、実際に利用しているアプリやサービスについても紹介する。

【分科会B】きのくにICT教育 ~和歌山県の高校・プログラミング教育~
和歌山県教育庁 学校教育局 県立学校教育課(兼)義務教育課  肥田 真幸  発表スライド(8.3MB)
(要旨) 和歌山県では「きのくにICT教育」の中で、高度情報社会で活躍するために必要な論理的思考力や情報活用能力、これらに親しみ使いこなすことができる力を育むことができるよう、県内小・中・高等学校及び特別支援学校において発達の段階に応じた体系的な取組を行っています。 和歌山県内の高等学校では、共通教科情報科の中でプログラミング教育を20時間程度実施することとしており、その取組、内容について紹介します。

【分科会C】ICTのデメリットを補う習得型AL 4年間の調査から見えてきたもの
大阪暁光高等学校  北辻 研人  発表スライド(12.2MB)
(要旨) ICT利用による教育的効果が謳われるが,果たして万能なのか?その効果を数値的に測り調査した結果,ICTを用いた授業を苦手とする生徒が一定数いることが分かった。そんな生徒に対し,周囲を巻き込み,全員の教育効果を上げるALを開発した。 4年間継続調査し,見えてきたことを報告する。情報科教員として,常にICTを利用した授業を展開する上でその利用効果の本質やデメリットを理解し,次世代の担い手を育む必要があると考え,今回の報告に至る。

【分科会D】高校生が楽しく学べる仮説検定と相関・因果の授業実践
日出学園中学校・高等学校  武善 紀之  発表スライド(5.2MB)
(要旨) 新学習指導要領ではデータサイエンスが大きな目玉となっている。現行課程の内容でも統計に対しては苦手意識を持っている生徒は多い。今回は楽しく統計の本質を学べるような実践として、数式を一切使わない仮説検定の概念習得及び実習、相関関係・因果関係の発見グループワークを行った。結果、生徒の興味・関心を維持しながら、統計に対する理解を大幅に深めることができた。その実践の流れと成果について報告する。


分科会発表(2) 8月10日(土) 17:00 〜 17:25

【分科会A】科目「情報セキュリティ」の授業実践
三重県立亀山高等学校  村山 佳之  発表スライド(2.2MB)
(要旨) 本校では昨年度から2年間、文部科学省の教育課程研究指定校事業の指定を受け、高等学校学習指導要領(平成30年告示)で設置される科目「情報セキュリティ」を3年生の学校設定科目(2単位)として設置し、授業実践を進めている。昨年度から今年度の1学期まで行ってきた授業実践の取り組みについて発表する。

【分科会B】情報活用能力を鍛えるプロジェクト型授業 ~「情報I」を見据えたプログラム開発~
京都産業大学附属中学校・高等学校  森本 岳  発表スライド(13.6MB)
(要旨) ひとつひとつの単元に「〇〇を明らかにせよ」というプロジェクト型の問題解決の要素を取り入れることで知識と実践力の乖離を防いでいる。年度後半では日頃の小さな課題で体得した問題解決力と情報活用能力を総動員して、様々なデータから課題を発見し、仮説と検証を繰り返しながら創造的な問題解決に取り組み、アイディアを社会や企業に向けて提案していく。OODAループを回しながら探究に取り組む過程で、課題解決の手法や情報活用能力を鍛えるだけでなく、社会に目を向ける姿勢や創造力、論理的思考、表現力などの「社会で通用する力」を育てる。

【分科会C】入試教科としての「情報」を見据えた定期考査の実践と考察
愛知県立瀬戸北総合高等学校  田中 健  発表スライド(3.6MB)
(要旨) 2024年度からの大学入学共通テストにおいて、新科目「情報Ⅰ」が基礎的な科目としての位置づけで実施されるように検討していくことが、政府の方針として発表された。そこで、これまで発表者が入試教科になりうると見据えて実施してきた勤務校での定期考査問題と解答状況をもとに、情報入試についての展望を示したい。

【分科会D】Webアプリケーションの作成を題材とした協働的な学習活動
東京都立新宿山吹高等学校  梅沢 崇  発表スライド(616KB)
(要旨) 本校では昨年度より学校設定科目「情報総合実習」を設置し,「情報技術を統合して活用する力」「身の回りの課題を見つけ解決する力」「他者と協働して物事に取り組む力」の育成を目指した。生徒はグループワークでのWebアプリケーションの作成を通して,他者と協働して身の回りの課題を見つけ,解決のために何が必要かを考え,それを具体化することができた。


分科会発表(3) 8月11日(日) 9:30 〜 9:55

【分科会A】次期学習指導要領「情報Ⅰ」年間指導計画とその具体案
東京都立目黒高等学校  中山 享司  発表スライド(991KB)
(要旨) 22022年度から新学習指導要領「情報Ⅰ」が始まる。「情報Ⅰ」では、「問題解決」、「コミュニケーションと情報デザイン」、「プログラミング」、「ネットワークとデータベース」の4分野がある。現行の学習指導要領からのスムーズな移行のために、東京都高等学校情報教育研究会として、年間授業計画のミニマムモデルを提案する。本発表をお聞きの皆様と共に未来の情報教育を検討したい。

【分科会B】ノンプログラミングによるPaaSでのアプリ作成
静岡県立島田商業高等学校  鈴木 滋  発表スライドPreziへのリンク
(要旨) 島田商業高校総合ビジネス科では身近な課題に対してPaaS「Platform as a Service」を利用してのアプリケーション作成を実施した。提供先企業はサイボウズのkintoneというアプリケーションになる。対象生徒はプログラミング言語の学習をしていない生徒である。普段の高校生活での課題を見つけ、ユーザーがいかに使いやすく効率化できるようなUIを作るのかということや、用途にあわせてアプリケーションを構築できる。また、ノンプログラミングで誰でも構築できるとしている。授業では高校生なりに身近な(普段の高校生活)の課題についてブレーンストーミングで課題を洗い出しアプリを作成までの手順を実践報告する。

【分科会C】ルーブリックを活用した形成的評価とジャーナル作成授業
大阪府立東百舌鳥高等学校 稲川 孝司   清教学園中・高等学校 勝田 浩次
広島大学附属福山中・高等学校 平田 篤史  発表スライド(3.5MB)
(要旨) 大阪府立東百舌鳥高等学校情報科では,知識・技能の習得だけでなく,アクティブラーニングの視点からの学習・指導方法の改善を行い,生徒が主体的・対話的・協働的に学習し,理解を深めていけるようルーブリックを活用した形成的評価を取り入れ,「授業で学んだこと・考えたこと」をポートフォリオに記入させ,単元の最後にそれらをまとめたジャーナルを書かせている。ここではその授業実践を報告する。

【分科会D】プログラミング教育を見据えた動画作成の検討
埼玉県高等学校情報教育研究会  高野 将弘  発表スライド(966KB)
(要旨) 埼玉県高等学校情報教育研究委員会では、2022年より実施の「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」にて扱われるプログラミングの内容を見据えた反転学習動画を検討、作成し著作権、肖像権を配慮した上で一般公開した。今回の動画は、プログラミング教育の中でも重要となるアルゴリズムに関係するソーティングの解説である。研究委員ごとに特色ある動画を作成し生徒の興味関心を掻き立て、理解を深める動画のコンセプトを6つ、紹介する。


分科会発表(4) 8月11日(日) 10:00 〜 10:25

【分科会A】情報Iの年間カリキュラムと教材の開発
千葉県立生浜高等学校  太田 剛  発表スライド(2.1MB)
(要旨) 2022年度から「情報I」が始まり,情報デザインやデータサイエンスの新しい考えが導入され,プログラミングを全生徒が学習することになる.ただし,これらの高度な内容を教師が実施できるか問題視されている.このような状況の中,筆者は2018年度に現行指導要領の範囲で情報Iを見据えた授業の開発と実践を行ってきた.本論文は, 2018年度に開発・実践した授業内容を情報Iの試作年間カリキュラムとして再構成し,50時間以上の授業として約500枚のスライド教材を提案するものである.

【分科会B】普通教科情報におけるプログラミング学習実践とグループワーク
和歌山県立星林高等学校  西川 充伸  発表スライド(10.8MB)
(要旨) 文部科学省教育課程研究指定校事業を受けて,次期学習指導要領で実施するプログラミングを,一足早く「社会と情報」に取り入れて実施した。使用言語はJavaScriptで,Monacaというクラウドベースのシステムを利用した。また,グループワークとしてiPadを利用したアプリ開発も行った。今後のプログラミング学習導入に参考となるように,これらの総計20時間の実践を紹介するとともに,明らかになった課題と今年度予定している対策を紹介する。

【分科会C】情報通信方式の科学的特徴を発見的に理解する情報科の授業の開発
神奈川県立生田東高校 大石 智広   専修大学ネットワーク情報学部 望月 俊男  発表スライド(22.4MB)
(要旨) 新しい学習指導要領における「情報Ⅰ」では,情報の科学的な理解がより重視されている.また,探究的な授業が目指されている.高等学校共通教科「社会と情報」のインターネットの情報通信方式を学ぶ単元において,発見的に科学的な知識を理解することを目指した授業の開発を行った.本稿では,その授業デザインと結果について報告する.

【分科会D】都立高校生Twitterアカウントの所属校推定の試み
放送大学大学院修士課程(東京都教育委員会 指導主事)  三村 徹  発表スライド(606KB)
(要旨) 自治体が実施するサイバーパトロールでは、Twitter等での自殺予告等のメッセージを検知しても、所属を特定できずに相談機関等へ連絡できない現状がある。しかし、Twitterのプロフィール情報やフォロー情報には、性別・年代・職業等の属性を示唆する様々な情報があり、APIで取得可能なデータとなっている。本発表では、取得可能なデータから都立高校生Twitterアカウントの所属校を推定する手法の考察を報告する。


分科会発表(5) 8月11日(日) 10:30 〜 10:55

【分科会A】生徒が協働的に学ぶデータを活用する授業の成果と課題
埼玉県立川越南高等学校  春日井 優  埼玉県立川越南高等学校  原口 有志  発表スライド(203KB)
(要旨) 新科目「情報I」でデータの活用が指導内容となり、単に知識・技能を身につけるだけでなく、活用できることが求められている。現行の学習指導要領において、「情報の科学」の「問題解決の基本的な考え方」として統計的仮説検定やデータの可視化を含めて授業を行った。生徒により問題を発見させ、グループでの活動により、データの収集・整理・分析をさせた。その実践から見えた成果と課題を報告する。

【分科会B】Webブラウザ上のプログラミング学習環境 WaPENにおける関数・手続きの実装
名古屋高等学校  中西 渉  発表スライド(543KB)
(要旨) 本発表では,Webブラウザ上で動くプログラミング学習環境WaPENに関数や手続きを実装したことについて述べる。次期学習指導要領「情報I」の「コンピュータとプログラミング」では,関数の定義・利用によってプログラム構造の整理や性能改善につなげることが記されており,今回の改良によってこれに対応できると考えている。

【分科会C】情報科レディネステストの作成と実施・分析についての報告
愛知県立尾西高等学校 柴田 謙一   愛知県立小牧高等学校 井手 広康  発表スライド(190.9MB)
(要旨) 新学習指導要領が告示され,高等学校情報科においてはプログラミング教育や大学入試科目化に大きな注目が集まっているが,授業時間確保に向けた授業内容の精選も重要な課題のひとつである。適切な授業内容の精選のためには,小・中・高の連続的な学習プロセスの把握が必要不可欠であるが,異校種の学習内容を把握することは容易ではない。愛知県尾西北地区高等学校情報教育研究会では,加盟校10校の新1年生を対象にコンピュータ・サイエンス分野の学習状況や,スマートフォン,タブレットなどの情報機器に対する意識等に関するレディネステストを作成・実施した。本稿では,レディネステストの分析結果について報告する。

【分科会D】「情報通信ネットワークとデータの活用」実践報告と課題
東京都立町田高等学校  小原 格  発表スライド(1.0MB)
(要旨) 現行「情報の科学」を基に内容を発展させた,情報I「情報通信ネットワークとデータの活用」の授業実践と計画について報告する。特に,データベースおよびデータの収集,整理,分析方法について着目し,データベースの作成を通したネットワークの利用やデータ形式の意識,データの可視化,データの傾向についての評価における授業実践を紹介するとともに,その課題や今後の展開についても触れていく。


分科会発表(6) 8月11日(日) 11:00 〜 11:25

【分科会A】情報Ⅰを見据えたデータ分析の実践
東京都立江北高等学校  稲垣 俊介  発表スライド(2.5MB)
(要旨) スマホの機能やアプリを用いて生徒が自身のスマホの利用状況を調査し、データ分析をする実習を情報Ⅰの「データの活用」を見据えて試みた。これまでの調査は生徒の申告によるデータを調査対象として分析をした。しかし、本実践ではアプリ等を用いてデータ収集をすることで、生徒の申告よりも正確で客観的なデータを調査、分析できた。その結果、データ分析の知識及び技能が身につくだけではなく、スマホ利用について以前よりも「自身の問題として捉えることができた」と生徒によるリフレクションの記述で多くみられた。

【分科会B】作成演習を通して自ら学ぶプログラミング教育
和歌山県立紀北工業高等学校  北山 浩司  発表スライド(803KB)
(要旨) プログラミング学習では、学習者が自ら考え工夫して作り出すことが大切である。 今回紹介する学習(演習)事例は、学習者が教えられる部分を最小化し、演習のなかで自ら考え工夫することで文法やアルゴリズムを身に付けるようにさせる。具体的にはまず基本的なプログラム例を実行する。それぞれに改変する課題を用意し、ソースリストから推理させることで学習させる。また、実習環境としてWeb上でプログラミング演習を行う事例を紹介する。

【分科会C】情報モラル教育から情報デザインへのアプローチ
福井県立若狭高等学校  木村 文彦  発表スライド(1069KB)
(要旨) 情報モラルに関する調べ学習を導入にして、人に伝えるためのレイアウトの工夫や人の心を動かす言葉探しの課題に取り組ませた。調べ学習のテーマは、教科書に取り上げられている情報モラルやインターネットの危険等に関する語句を中心に12の中から選ばせた。作品作りは3時間、クラス内発表を経て、よい「デザイン」とはどのようなものか考えさせた。さらに「言葉をデザインする」課題として、宣伝会議賞中高生部門に取り組む。

【分科会D】情報システムの仕組みを図解化しよう 複雑な仕組みを簡単に伝える
神奈川県立茅ヶ崎西浜高等学校  鎌田 高徳  発表スライド(2.3MB)
(要旨) 新学習指導要領の情報Ⅰや情報Ⅱでは、情報システムの情報の流れや処理の仕組みなどについて理解し、情報システムが提供するサービスの効果的な活用について考えさせる活動が求められる。そこでYouTubeやPOSシステムなどの身近で複雑そうな情報システムの仕組みについて調べ、その概念を図形の組み合わせによって図解化し、情報システムの仕組みを表現することで、情報システムをどのように活用すればいいのか考える実践を行った。


分科会発表(7) 8月11日(日) 11:30 〜 11:55

【分科会A】地域連携を担う情報教育のあり方
秋田県立仁賀保高等学校  小西 一幸  発表スライド(25.0MB)
(要旨) 地域連携の一環として昨年度実施した小学生対象のプログラミング教室と小学校教員対象のプログラミング研修会の実践報告。この実践のポイントは受講者の指導は高校生であること。高校生が講師となり教えることで、情報科で学んでいる生徒の存在価値を上げる取り組みとして紹介する。

【分科会B】スマートスピーカーを利用するプログラミング学習環境の提案
大阪電気通信大学  本多 佑希  発表スライド(1.0MB)
(要旨) 高等学校で新設される情報Iでは問題解決のために音声認識や人工知能などのライブラリやAPIを活用したプログラミングの学習が扱われる予定である。本研究では、普及が進んでいるスマートスピーカー(AIスピーカー)のプログラムを授業で手軽に開発できるプログラミング学習環境を提案する。開発した学習環境では、Webブラウザ上で記述した学習者のプログラムを、LINE社のClovaから利用できるようにした。

【分科会C】ブラウザで一気通貫!授業実践報告 科学実験からのWEBプラットフォーム理解
川崎市立橘高等学校  布村 覚  発表スライド(10.0MB)
(要旨) 情報の科学単元「ネットワーク、データベース、プログラムなど」に対するブラウザ環境における一貫した実験指導により、通信やWEB開発・サービス理解の一助とし、課題を考察させる実践報告。Cドライブ上にWEB・DBサーバを設定し、HTML+JS実習に加えDBによるWEBサイト管理を体験するとともに、ネットワーク上の危険性を理解させる。さらにアクセス・エクセル連携による統計実習とSQLの比較実験を紹介する。以て教科書理解をより強固にし、受験教科としての対応を目指す。

【分科会D】情報社会を考える動画作成実習の授業報告
二松学舎大学附属柏中学校・高等学校  阿部 百合  発表スライド(5.0MB)
(要旨) 動画作成は生徒が能動的に取り組める最高の実習課題のひとつである。理由として生徒が作成した作品に関心が高いことが挙げられる。この点に注目し、動画作成を技術面の学習に留めず、情報化が社会に及ぼす影響や課題を考える機会とした授業の実践報告を行う。生徒を班ごとに分けて、LINEによるコミュニケーションの失敗やネット詐欺、LINEによるいじめ等のテーマを考えさせた。教員は、準備に高度なソフトウェアの設定や費用が発生しないよう配慮した。当日の発表では生徒が実際に作成した動画を紹介し、生徒の動画作成で現れた課題や問題点を示し、参加者と共有したい。